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sula - 'lj​ó​si​ð​' (sample)

by Jade Visions

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about

幸か不幸か、アイスランドの少数民族であるフヴァル族の出身というオリジンに起因する民族的内閉性と喪失感が、一人の女性として当然通過することとなった思春期特有の自意識的内閉と喪失の世界と戯れ、紛れてしまったことにより、「結果として」稀代の資質が希薄な自覚のまま内側から不可避かつ偶さかに発露を希求する格好となった──などと、スーラ・ギルフィドッティルという、未来ある若きプロデューサー/ヴォーカリストの輪郭をファーストEPのみを以て断定してしまうのは、甚だ早計な所作となってしまうかも知れないのだが、もはや世界を射止めてしまったとも言えるこの16歳のプロファイルを、「内閉と喪失を自明な感受として生きたとき、その極限で、生が結局何を見つめようとするのか」という視座に沿って論じたことがある人を知らないので、ここに備忘のために記しておくことにする。

"父親のカセットテープライブラリからサンプリングした素材だけで構築したローファイなトラック上に自身のヴォーカルを乗せていく"という形式で紡がれる彼女の楽曲たちを音楽的に言えば、インダストリアルテクノイズを母体とするディープ・ミニマルなアグロテック感覚からスキニーパピー的ヘレクトロ成分を濾過し、流麗なEBMへと落としこんだ、言うなればIDKのハッピーハードコア志向を基点とする潮流がドイツ的ダウナーへ向かう基本姿勢と融合したムーブメントの系譜の突端に位置する、と言えなくもないが、天与の資を前に、ジャンル分けなど、不粋極まりない評論界隈の典型的行状にもなりかねない故、このあたりまでにしておきたい。

本作のタイトルljósiðは至極シンプルにLight/光という意味だが、この一曲のために同郷の著名なリミキサー陣がレーベルの垣根を越え、さながら女神アグライアの輝きに誘引されるが如く一堂に会する様は、その"光"が、例えばプラトン主義者であればイデアそのものだ、とも呼びかねないほどの勁烈な煌きである事のひとつの証左ともなろう。

【寄稿】川上伸郎
文筆家、サウンドブランディングコンサルタント、ラジオパーソナリティ、北欧音楽評論家、DJ、シナゴーグ大学日本校准教授(ギリシャ哲学/時間論)

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released February 20, 2017

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Jade Visions

Jade Visionsは、世界のどこかにありそうな曲を創作した上で、架空のアーティスト、アルバムジャケット等を捏造し、どこかの誰かが言いそうなあるある音楽評論とアーティストコメントをライナーノーツとしてでっち上げるジョークレーベルです。

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